4章

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友人が「学校に忘れ物した!」と言って電車に乗らず引き返した。 その結果俺は1人で乗っているわけだが、 とても良く知っている顔が同じ車両にいる。彼女は駅の方向が違うのか、いないみたいだ。 こちらには気づいていないようで、吊り革に捕まりながら本を読んでいる あいつサスペンス小説好きだもんな…。何読んでるのかな…。 なんてぼーっと考えていたけれど、段々この先のことを考えて不安になっていく。 …どうしたものか。 家隣同士だぞ…。帰り道も必然的に同じになる。 気まずいからどこかで遠回りで家に帰ろうかと思ったけど、思い直した。 今日こそ話しかけるチャンスなんじゃないか? 無視されることが怖くて話しかけられなかったけど、そんなことをしてたらいつまで経っても蒼と話すなんて無理だ。 友達や彼女が近くにいない今がチャンスなんじゃないか? 覚悟を決めろ、俺ー…。 …そう覚悟を決めたと思った10分後の俺、未だに蒼に話しかけられずずっと奴の10メートル後ろを歩いていることをここに告白します。 前のページでなんかすごいポエミーでカッコイイ意思表示してたけどやっぱこえーよ!普通に無視されたらどうしよう泣いちゃうよ俺!! べそをかきながらとぼとぼと蒼の後ろを歩いていく。今や見慣れた彼の背中を視界に収めては、地面に視線を下ろす。 「蒼!帰り道一緒になるなんて珍しいな。今日部活早く終わったのか?」 「よっ!一緒に帰ってもいい?それにしても話すの久々だな」 「蒼、俺の話を聞いてくれ。お前ともう一度しっかり話したいんだ。」 「蒼、」 頭の中の蒼に何度も話しかけてはやり直す。 あの角を曲がったら話しかけよう。 あのカーブミラーを過ぎたら話しかけよう。 約束事を作っては何度も破る。 自分が意気地無さすぎて小さくため息をついた。 俺は一体何をしているんだろうか…。 冷えきった指先を白い息で暖めることも忘れて、ただアスファルトの地面を見つめて重い足取りで進む。 その時、明るく心地の良い声が響いた。
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