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「あら!直くんおかえりなさい!」
弾かれるように顔を上げる。
周りを見ると俺の家の前だった。いつの間にか着いてしまったみたいだ。そして目の前には箒を手にした蒼のお母さんがいる。
家に入ろうとしていた蒼がこちらを見た。
ドクン、と心臓が跳ねる。しかし見たのは一瞬で、すぐに目線を外された。
どうやら蒼のお母さんが玄関前の掃除をしていて、俺の存在に気づいてしまったようなのだ。
「ただいま…です…」
「2人とも微妙な距離離れて歩いて…変ねえ~。喧嘩でもしたの?」
「あ、いえ俺が勝手に後ろ歩いてただけ…」
「まあいいわっ久し振りに家いらっしゃい
直くん!最近来てくれなくておばさん寂しいのよ。」
「え!?!?いやいや俺は遠慮…」
「なに遠慮してんのよ!!この間まで毎日のように遊びに来てたじゃない!さあ入った入った!」
忘れてた…蒼のお母さんはすごいパワフルな女性だということを…。
俺は腹を決めた。もうどうにでもなれ!
もう一度玄関に目線を移したが、そこにはもう蒼の姿はなかった。
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