4章

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「直くん今日は夕飯うちで食べてくるから~うんうん、それじゃあよろしくね~」 俺の母親に連絡しているであろう蒼母の声はとても陽気だ。 俺はというととても気まずい。 「あら、どうしたのそんなとこに突っ立って~まだ夕飯できてないから蒼の部屋で一緒に待っててね!」 「は、はい」 やはり言われてしまった…。 蒼と向き合うことを望んでいるとはいえ、やはり怖いのだ。重い足取りで階段を一段一段登っていく。部屋のドアを開いてからなんて話しかけようか考える。 おじゃまします?久し振り?ごめん?おばさん相変わらずだな? 浮かんではパチパチと弾けて消えていく。 心はバクバクと音を立てている。 部屋の前までやってくる。無機質なドアが不安を膨張させる。深呼吸をして落ち着かせる。大丈夫。何を怖がっているんだ。あいつはすげえ優しい奴なんだ。それは俺が1番分かっているはずだろ? 意を決してノックを3回。 「蒼、入るよ。」 入っても良い?と聞かなかったのは、返事が必要だから。俺が臆病だからだ。
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