1章

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蒼は語りモードに入っていた俺の意識を現実に引き戻した後、何食わぬ顔で俺の前の席に座る。何食わぬ顔っていうかまあ普通にそこが蒼の席だからなんですけどね! 1人ノリツッコミを楽しんでいると近くに姫川さんのオーラを感じた。 「あ、蒼くんと笹原くんだ。おはよう。」 小鳥のさえずりが聴こえたと思ったらなんだやっぱり(cv:姫川さん)か~。 と、悠長に癒されている場合ではない。俺はすぐさま脳内録音した先程の台詞を繰り返す。 『あ、蒼くんと笹原くんだ。おはよう。』 待て、待て待て待て。言いたいことが二つある。 前者は呼んだ名前が俺の方が後という事だ。しかしそれは1万歩譲って許そう。ホラあれだよ蒼の方が手前にいたから姫川さんが俺を視認するまでに蒼とタイムラグが生じただけさ。 しかし後者はどんな都合の良い解釈を並べても、俺が蒼に遅れをとっていることを証明していた。 蒼は、姫川さんに下の名前で呼ばれている。
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