1章

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「姫川さん今日髪可愛い、見せて。」 姫川さんの一挙一動について脳内解釈を繰り広げていたら俺としたことが、奴に先を越されたーー!! しかもなんだその台詞は!! 俺が愕然としている間に蒼は姫川さんの美しい髪を堪能している。 「この髪型どうやってんの?すごい。」 「全然!これすっごく簡単なんだよ。すぐできちゃう。」 できちゃうって…できちゃうってKAWAIIー!! 蒼によって引き出された言葉なのが癪だが姫川さんが可愛いからオールオッケーなのだ。今日も姫川さんのおかげで地球は平和に回っている。 しかし俺だって負けてはいられない。現実帰還スイッチオンだ。 「そうなんだ。今度教えてもらおうかな。」 「え、笹原くんがこの髪型やるの?」 「え!?違う違う。妹にやってあげようかと思って。」 「あはは、そうだよね。笹原くん優しいね。」 っっっっっぶねーーーー!!!!!!!!!台詞選択ミスった!!!!!!!!! とんでもない勘違いをされるところだった。寿命が縮むかと思った。てか絶対縮んだ。 ちなみに俺に妹などいない。俺の家族は父母姉犬の4人と一匹家族だ。 妹がいるいる詐欺について蒼がろくでもないことを言うのではと不安に駆られたがそこは流石の爽やか王子、俺がアイコンタクトする(睨みつける)までもなく何食わぬ顔をしていた。 親友のファインプレーに感動しつつ、俺は先程の姫川さんの笑顔をちゃっかり瞼の裏に焼きつけていた。
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