1章

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蒼が姫川さんのことを好きだと発覚したのがつい先月のことだ。 蒼が俺にポツリと言ったのだ。 姫川さんが気になる、と。 蒼は俺が姫川さんのことが好きなのを知らない。バレてるだろ、そう思うかもしれないが、実際は違う。 脳内ではこんなにペラペラとお喋りしている俺だが、現実ではここまで自分のことを喋る奴ではないのだ。 きっと俺と姫川さんが仲良くなっていく様を見た蒼が自分の気持ちに気づいてしまったのではないだろうか、と今は思う。 俺に姫川さんへの想いを伝えた蒼は、照れくさそうに笑って窓の外を見た。 夕日に照らされた髪がオレンジに染まる様子を、俺はただ眺めるしかなかった。 そして蒼は次の日から、姫川さんへのアプローチを開始したのだった。 これが 俺と蒼の姫川さんを巡る戦いのはじまりだった。
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