2章

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先月のある日から蒼は姫川さんにアプローチを開始したわけだが、なにせコイツには「俺」という姫川さんへの強いパイプがある。 蒼が姫川さんの分厚い壁を壊すのに、そう時間はかからなかった。 前までは姫川さんと俺が話している時は積極的に中に入っていこうとしなかった。姫川さんが自分に緊張しているのが分かっていたのだろう。しかしあの日から蒼は姫川さんが緊張しないように上手く気を遣いながら会話に入るようになった。俺も蒼と姫川さんと3人で話すのは楽しいし良いんだけどそれは蒼が姫川さんを狙っていない場合の話だ。 そのおかげなのか、気安く男子の名前を呼んだりしない姫川さんにたった2週間ほどで下の名前で呼ばれていやがる。 ややこしい苗字で良かったな。俺もややこしい苗字だったら今頃直樹くん!とか言われてたのかな。あ、いいなこの妄想。 妄想の中の姫川さんは、何度も俺の名前を呼んでくれた。
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