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今夜は、そう、記録的な大雪で
「おい、大丈夫か?」
ひんやりした床が気持ちいい。
だれかの声がする?
「んー、ひゃい、ささきぶちょ。わーい。」
「お前.......部長はいないだろ。」
ぐいっと両脇を掴まれ床から剥がされる。
力強い腕が私を抱え込む。
「ほら、ベッドどこだよ?連れてってやる、なんでこんなに飲んでんだよったく。」
男の人の声が聞こえる。
だけど全てがふわふわしてよく分からない。
「ひっく、ぶちょ、寂しいよお......」
悲しくて寂しい、お家だから泣いたって良いよね。どうせどうやったって駆けつけてもくれないんだから。
「......なあ、お前悲しいの?なんで迎えに来てもらわなかったの?オレなんかに送られてバカじゃないの?そんな奴なら......もう我慢するのやめるから。」
低い声が耳元で何か言っている。
ベッドに身体を沈められ、ギシッと軋む音が聞こえた。
朦朧とする意識の中で、優しくて暖かい手が頭を撫でてくれていた。そのまま、頬に添えられ、暖かい手にうっとりし頬が緩んでしまった。
「嬉しいの?気持ち良い?いつもそうやって笑ってろよ......」
ちゅっ、唇にシットリした柔らかな感触を感じ何度も触れて気持ちよくなってきたころ唇の間に熱いものが暴れて入ってきた。
くちゅ、くちゅ
「っん、んん、ふぁっあ、あ、な、何ぃ?」
甘い痺れるような感覚で酔いから引き戻され、目を開ける。
顔があった、近過ぎると認識が遅れるんだなとボーっと考えていたが見覚えの有る顔に酔いどころか血の毛も引いた。
「え!あ?え......」
毎日会社で笑い合っている同僚は、ギラリとした欲望の目でこちらを見ていた。
半分程脱がされ、力が入らない身体でどうやったらこの場を切り抜けられるか考えてみる。
「もう、止められないから。ごめんね。」
考えてみたが、引いたはずの体温はとうに戻り、酔った頭と先程から与えられる刺激に思考はストップしてしまった。
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