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こ~んなに、寒い日はやっぱりこたつにかぎるわぁ。
あ、あたしは茶トラのチロルよ。
今日もおこたで、ぬくぬく、ほっこり。
幸せ・・・なんだけど、嫌な事もあるワケ。ほら、今、パパさんが靴下を脱いで、ムレた足をつっこんできたっ!
クサ~イ。あたしのデリケートなピンクの鼻がもげそうよ。この激クサ足でよく離婚されないわね。
ズボッ!!
これは、ママさんの足ね。臭くはないけど、ウオノメが気になるわぁ~。ま、いいけど。
ドタドタドタ・・・。
あの足音。果てしなく嫌な予感。
ばさり。
「チロ~チロルちゃああん!!」
一人娘のヤエコが、あたしをこたつから無理やりひっぱり出して、冷たいほっぺをすりつけてくる。
「あったか~い。癒されるぅ~。」
こっちは、全然癒されないわよ。
「チロル、パパのとこにもおいで~」
冗談でしょ!・・・でも、パパの腕の中って、居心地いいのよね。
「ちょっと。チロルは迷惑がってるわよ。こたつに戻してあげなさいよ。」
ママさんの言葉であたしは再びこたつの中へ。
パパさんの激クサ足からなるべく距離をとって、丸くなる。
ウトウト・・・ウトウト・・・。
・・・幸せ・・・。
暫らくして、パパさんがこたつ布団をめくり上げて、中を覗き込んだ。
「チロル、幸せそうに、寝てるなぁ・・・。」
「私、猫になりたいよぉ。仕事に行かなくていいし~。」
「ヤエコ、猫にも猫の悩みがあるわよ、きっと。ママはチロルの寝顔みてるだけで、幸せな気持ちになるわぁ。」
パパさんは頷いて、こたつ布団をそっと下ろした。
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