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紫の部屋
「今日は、一段と冷え込むな……。嗚呼、牡丹雪に変わったのか……。今宵はもっと積もりそうだな。早く終わらせて帰ろう」
――カタンッ。
「おや? 誰か居るのか? 全く、こんな廃屋に……?」
――キィィッ。
「おや、誰も居ない。まぁ、こんな廃屋に他人が居る訳がないか、まさか、幽霊……なんてな」
「曰く付き物件って訳じゃないだろうし……この家も終わりかねぇ……」
――ぴちゃん。
「……? 水の音か。蛇口を閉め忘れかな? ……ソレはないよな」
――アナタを信じてる。
「……?」
「紫の花弁……? 廃屋を遊び場にしている子供が散らかしたかな? 片付けるのが面倒だね……」
――まだ、帰って来ないの?
「全く……最近の子供は悪戯が過ぎるな」
――そう……アナタが帰って来てくれないから。
「こんなに、沢山花弁を散らして……」
――きっと、悪い子に捕まっちゃったんだよ。僕が助けてあげなきゃ。僕は騎士(ナイト)だから。
「うわぁっ!? なんだこの部屋、一面紫色じゃないか!!」
――アナタと私の甘い城に邪魔者有……。
――キミと僕の城に侵入者有……。
――討たなきゃね。
――邪魔者は要らないから。
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