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「おーい!あーりーさーーー!!」
スノーモービルの向かう先から溌剌とした声が上がる。ライトに照らされる先で手をぶんぶんと振っている。
「おやおや。室内で待つようにと言ったのに」
その言葉とは裏腹に、佐々木さんはどこか嬉しそうに私の反応を伺った。ほらね、とでも言うように。
「大丈夫か? 歩けるか? 肩貸そうか?」
スノーモービルが止まると、康介は真っ直ぐこちらに駆けてきた。そして私が答えるよりも早く、私の方に手を回す。
「いいか、せーのでいくぞ」
右か左か。その選択は、終わってみればなんでもない事なのかもしれない。
それでも私は、あの時右を、そして左を選んだことを幸福に思わずにはいられなかった。
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