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夜の12時30分。そろそろ眠くなってくる時間だ。僕はこたつに潜り込むと、顔だけ出してタマの様子を見た。タマは、こたつの方が温いのになぜかいつも猫用寝床で寝ている。僕が誘っても毎回断られてしまうが、今日はひときわ寒いので試しに誘ってみることにする。
「タマ~こたつ入らないの?」
「俺はここでいい」
「なんで?そこだと寒いよ?」
「構わん」
「ええー!?なに、僕と寝るのが嫌なの?」
「そうだと言ったらどうする?」
僕に背を向け、面倒くさそうにタマは言う。
そうだと言ったら?うーん……。
僕はタマの寝床に行き、タマに全力猫パンチ!
「とりゃ!」
「痛てぇよ!なんなんだよいい加減にしろ!」
「なんで僕と寝るのが嫌なのか言え~!」
「はあ!?ふざけんな俺は寝る!!」
寝ようとしたので、今度はタマを強引にこたつに引きずり込む。
「なにすんだよ!」
「僕と寝るのが嫌な理由を言えー!」
「あーもうしつこいな。お前の寝相が悪過ぎて、一緒に寝てると殴られるわ蹴られるわで散々だからだよ!」
「え?」
「その上自覚症状無しと来てるからな。これ程タチの悪いものは無い」
「……それ本当?」
「当たり前だろ?」
僕はこたつに頭を埋めながら悶えた。てっきり僕と寝るのが恥ずかしいのかと思ってた!
「じゃあ俺は自分の寝床で寝るから……」
「ま、待って!」
僕はタマを引き止めた。
「今度はなんだよ。いい加減寝かせろよ……」
「反対側! 僕と反対側で寝れば問題無いんじゃない?」
「はあ? なんでそんなに俺を……」
「いいから!」
僕が懇願するとタマは渋々了解してくれた。彼はこたつに入って丸くなる。
「……まあ、たまには悪くねえな」
そしてそのまま寝息を立て始めた。
僕も丸くなって目を閉じる。うん。やっぱりこたつは最高。
明日もいい日になりますように。
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