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小さな町の駅は無人駅で、いつになれば電車は来るのだろうか。
僕は身体を震わせながら何度も腕時計を確認していた。
「まだ……来ないみたいですね」
「え……? あ、はい……」
隣に並んだ貴女が声を掛けてきたけど、女性と普段からあまり会話をした事が無い僕は、大した言葉も出なかった。
「もう、最悪ですよ! 今日は朝から先輩に怒られるし……こんなに雪が降るなんて思ってなかったからヒールを履いて来ちゃったし……さっきそこの坂道で3回転びました」
「──そう、なんですか」
「そうなんですよ!最悪ですよね」
確かに彼女のコートは背中がかなり濡れている。
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