こたつ

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  思い返せば午後の4時過ぎ まだまだ滑り足りなかった俺は仲間と別れ、独り上級者コースを選んだ 新雪を求めているうちにいつの間にかコースを外れ、そして… 倒木に乗り上げ、大きく転倒し斜面を転がり落ちた 本当は助けを呼びたかった だけど圏外だったから、電波の届く場所を目指し少しでも麓の方へ降りることにした 腫れた方の足をかばいながら けれども思った以上に体は進まず、ついに体力は限界を迎えた 助けは期待できない このままナイターまで残るって言っちゃったしな 帰りが遅いと気付いて捜索を呼ぶ頃には深夜になっているだろう  動くのはあきらめて穴を掘ろう、いや、かまくらか けれども…うっすらと硬い表面を割って手にする雪はサラサラで固めることは困難だとすぐにわかった 日が沈んでしまった、これからはどんどん冷えてくる 「…これ、本気でヤバイな」 あきらめの気持ちでいた俺の前 そこに    こたつがあった  
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