お姫様扱いにも負けませんっ

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 いやあの、デートは別に来週でもいいんですけどね、と思った蓮は、渚が消えたあとで、脇田に訊いた。 「あの、日曜、社長、お仕事があるんですか?」 「ああいや、別に今週じゃなくてもいいんだけど」 と言いかけて、淡々とした口調で、 「ああ、秋津さんの方の用事は別に急ぎじゃないの?」 と訊いてくる。  葉子がパソコン越しに脇田を睨んだ。 「急ぎのデートなんてあるはずないじゃないですか。  蓮ちゃんを脅迫するような言い方、やめてください」  日曜くらい、二人で、ゆっくりさせてあげたらどうですか、と何故か、葉子が脇田を責める。  い、いや、本当にいいんですが、と思ったのだが、脇田は溜息をつき、 「わかったよ」 と手帳を閉じた。  いやあの……本当にいいんですよ~っ、と思ったのだが、葉子がこちらを見て、言ってやったわよっ、という顔で笑ってきたので、なにも言えなかった。
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