終章 嘘だとわかって、乗ってみました

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 渚はしばらく、統吉と、寄ってきた親族たちと話していた。  調子のいい人たちだなあ、と蓮は、池のガゼボから、その親族たちを眺める。 「そろそろ和博さん出してやろうか?」  側に立つスーツ姿の未来が言った。 「いやあ、もうちょっと置いておいて。  今出してくると、面倒だから」 「薄情な従姉妹だね」 と未来は笑う。  未来が女の子たちに呼ばれ、行ってしまったあとで、蓮はひとり、ガゼボの白いベンチでうつらうつらとしていた。  夢の中では、まだ咲かぬ蓮の花が咲き乱れ、その中を誰かがこちらへ歩いてきていた。
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