終章 嘘だとわかって、乗ってみました

30/38

7110人が本棚に入れています
本棚に追加
/584ページ
 頭になにか軽いものが載せられる。  蓮は目を開けた。 「うん」 と花はなくとも、美しい蓮の池を背に、渚が頷く。 「着物には間抜けだが、よく似合うぞ」 「だから間抜けなときに載せないでくださいよ~」 と赤くなりながら、ティアラを外そうとしたが、その手を止められた。  (ひざまず)いた渚が蓮の両の手首をつかんだまま、口づけてくる。  目を閉じると、涼やかな池の風が感じられた。 「蓮、結婚してくれ」  そう言う渚に、蓮は微笑む。 「じゃあ、飽きるまで側に居てください」 「……どっちが?」 「貴方がに決まってるじゃないですか」
/584ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7110人が本棚に入れています
本棚に追加