此処でサボったのが運の尽き

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 お茶出しが終わったあと、ひとり、給湯室を片付けていると、誰かが通り過ぎて戻ってきた。 「あれ? 一人?」  そう話しかけてきたのは、秘書室の脇田亨(わきた とおる)だった。  落ち着いた印象で感じがいい。  190センチくらいありそうな長身で、蓮でもかなり見上げなければいけなかった。  さっきの人よりちょっと大きいかな、と思って、脇田を見上げていると、 「派遣社員って、お茶出しまでするんだね」 と言ってくる。 「どっちでもいいみたいなんですけど。  一緒に働いているので。  私もお茶の会に入れてもらいましたし」  お茶の会というのがあって、みんなでお茶代を出し合って、こうして、3時とかにお茶を出すのだが、正社員は、ほぼ強制のようだった。
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