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Sweetness modest1
「なんだよ…」
炬燵に身体を半分入れて横になったまま眠ってしまった恋人を見て、思わず言葉が溢れ落ちる。
ふう、とユキヤは溜め息を吐いた。
高校を卒業してから、と無理矢理取り付けた約束から半年。家族よりも友達よりも恋人を優先したその日だったのに。
「ふ…」
無意識にユキヤの唇から笑みが漏れた。
安堵よりも口惜しく思う気持ちが強いことに気がついてしまったから。
「バカだなぁ」
そう自嘲気味に呟くと絨毯に膝を付いて緩んだ横顔に唇を寄せ、睫毛を伏せた。
かさついた唇。その端に軽く押し付けた唇を離し瞳を開けると、艶を含んだ音で自分の名を呼ばれた。
「…バカだなぁ」
ドキリとした心を誤魔化すように、ユキヤはもう一度呟いた。
「夢の中で俺を抱いたって意味ないだろ」
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