4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
・ｈｏｋｕｔｏ・
一途な少年のような名を持ったこの娘について
彼女は１１月生まれ
部屋にいるよりは外に出て
身体を動かすことが好き
スポーツも見ているよりは自分がやってみたい
占いではよく
「あなたの積極性が災いし対人関係で摩擦を生じることもあり・・・」
などと言われる
身体も平均よりはずっと大柄なので
我慢して（？）おとなしくしていても目立ってしまう
すべての事柄をひっくるめて
自分でも男に生まれてくるべきだったのではと思っていたりする
幼い頃から何度母親に言ったことか
ねー母さんわたしって何で女なの？
男に生まれたほうがきっと良かったよねー
その脇から決まって父親はこう言う
そだそだ、母さんのおなかにちんちんを忘れてきちゃったんだよなあ
母親はそれを軽くいなしてやさしく娘の髪を撫でて
にっこり笑う
母さんはね、「女に生まれればよかったような男の子」とか
「男に生まれればよかったような女の子」ってとってもいい誉め言葉だって思うのよ
だってね、うーん例えばあなたの場合だと
一度言い出したら聞かない頑固さと
それでいて傷つきやすい繊細な心
父さんと母さんの大切な部分をちゃんと持っているのよ
大きいから男、弱いから女、前向きだから男、
そんな概念はもう通用する時代じゃないの
そっかな、
よくわからないけど『ガイネン』って
女の子たちに好かれてるのは全然イヤじゃないし
頼りにされてうれしいのはホントだから
またわたし、がんばっちゃうんだろなー
さっ！今日も行くぜいっ！
性格そのままのようなストライプのシャツを羽織って
スポーツバッグを背に自転車に飛び乗りこぎだすきみ
自分の中に思いがけなく甘い蜜が入っていることに
気付く日はそう遠くないよ
そんなにいっぱい太陽を浴びているんだもの
冷え込みは順調
それは明日、明日、そしてまた明日の朝、と
歩みを進めている
最初のコメントを投稿しよう！