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「・・・寒っ!」
突然開いた自動ドアから、冷気と一緒に雪が舞い込んできた。
「・・・あ、すいません」
マフラーを顔にぐるぐる巻きつけた男が、こちらを睨んできたので、慌てて頭を下げた。
無愛想な男は、無言で横の洗濯槽を開け、黒いゴミ袋から服を取り出して、放り投げた。
その生臭さに、思わず横目でチラリと覗き見れば、洗濯槽の水が目を見張るほど真っ赤に染っていた。
「・・・なにか?」
「あ、いえ・・・なんでもありません・・・」
再び視線を雑誌に戻そうとして、固まった。
ラジオが、煩い。
───なお、犯人の特徴として、右の頬に大きな火傷痕があったと目撃者は語っております。──
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