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 あのときのわたしは、いつつになったばかりでした。  わたしが生まれ育ったところは、冬のはじめに雪が降ってからの4ヶ月、見渡すかぎり雪と氷ばかりになるという、たいへん寒いところでした。  幼いわたしが迎えた、いつつめの冬。  年が明けて間もない、まだどこかに年神様がいそうな、けれど大人たちはすっかり常のせわしなさを取り戻している、そんな頃でした。
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