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一目惚れだったのだと思う。
初めての出会いから、彼女に会いたくて、何度もバス停に足を運んだ。
わかったことは、最終バスの待ち時間に居ること、そして、なぜかいつも雪が降っている日だということ。
名前を知ることが出来たのは3回目に会った時だ。
少しづつだが会話の回数も増え、僕は雪の日が楽しみになっていた。
「こんばんは」
僕が声をかけると彼女はこちらを一瞥してまたアイスを食べ始めた。
「アイス、好きなんですか?」
正直、雪の夜というだけで身体の芯まで寒いのにそんな中でアイスを食べるという行為は尋常ではないように感じる。
「好きだから食べているに決まってるでしょう」
こちらを見ることはなかったが、質問には答えてくれる。そうやって名前も知ることが出来た。
彼女はいつもどこか違う世界を見ているようだった。綺麗な横顔は憂いをおびていて、今にも消えてしまいそうだ。
彼女の笑顔を見てみたいーーー
僕は雪の日のたび残業し、彼女に会い、たくさん話かけた。
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