6人が本棚に入れています
本棚に追加
雪国の運転手は、トランクに雪の道の対処道具を基本、揃えている。
瑠璃くんの親父の車は何とか、スリップから抜け出せた。
「お兄さん、ありがとう!」
瑠璃くんが感謝を口にする。
「はは。じゃ、ほっぺにチュッてしてくれるかい?」
「え?」
「冗談だよ」
そう言われた瑠璃くんは、男性にハグして、男性のほっぺにほっぺを重ねた。
「チュッは、恥ずかしくて出来ないけど、これで許して」
男性は、くすりと笑う。
「実は昨日、誕生日だったんだ。いいプレゼントになったよ。じゃ、気を付けて行きな」
「お兄さんの名前は?」
「アンマンマンとでも読んでくれ。本名は内緒だ」
男性は車に戻り雪の中を消えていった。
「いい人っているんだな。瑠璃がほっぺにぺたって大胆なことをしたな」
伊織先生が、そう言って瑠璃の肩を叩いた。
「うん。なんか、あの人には感謝を伝えたかったんだ」
最初のコメントを投稿しよう!