悪魔の郵便物

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 素直に判子を押そうと思ったが、やはり不自然に大きい荷物と、それに心当たりがない事が気に成ってしまい、判子を押す前に配達係に訊いた。  「何か凄い大きい荷物ですね。心当たりが全くないんですけど、名目は何になってますか?」  すると配達係は伝票を覗き込んで読み上げた。 「えーっと、楽器類って書いてますね」  楽器のようだ、とは思ったが、まさか本当に楽器だったとは。しかし達也は、やはりこの楽器に心当たりはない。  しかし、別に着払いというわけでもないので、受け取るだけだったら良いだろうと、伝票に判子を押した。  それを見届けた配達係は、 「どうも、ありがとうございましたー!」  と会釈をしながら、伝票と荷物を置いて玄関の扉を閉めた。  玄関の扉が閉まる直前の一瞬、扉の隙間から郵便配達係がこれと同じような荷物を他にも沢山手押し台車に積んで居るのが見えた。  そして閉まったドアの外から、隣の家のチャイムを直ぐに鳴らす音が聞こえてきた。 (もしかして、俺だけじゃなくて、他にも大勢この荷物が届けられているって事なのかな?)  そんな事を思いながら、そのギターケースに入ったギターのような物、が入っていると思われる箱を持ち上げてみた。  『ズシっ!』という感覚が腕に伝わる。
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