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紅殻勇者グランタロト 1
――2027年。私達が過ごしている今の時代より、少しばかり未来の出来事。
豪華絢爛、その一言に尽きる一室のベッドで、1人の幼い少女が横たわっていた。すでに夜の帳は下りているというのに、彼女は眠りにつくことが出来ないのか……目尻に涙を浮かべ、枕にしがみつき肩を震わせている。
そんな彼女の傍らでは、体格の良い父親が椅子に腰掛け、愛娘の手を握っていた。
「パパ……怖いよ」
「……また悪い夢を見たんだな、優璃。大丈夫だ、パパがついている」
可憐に咲き乱れる、純白の花々で彩られたこの部屋に――幼気な少女の啜り泣く声が、絶えず響いている。手を握る父は、見た目に反した優しげな声色で娘を励ましていた。
だが、少女の不安は拭えない。彼女の涙が止まらない理由は、絶えず脳裏を過る「悪夢」にあった。
「だって……夢の中に行ったら、みんな死んじゃうんだもん。ゆりのお友達、夢の中でどんどんおかしくなって……いっぱいけんかして、ひどいこと言ったりしたりして、最後は……みんな……」
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