1.芽吹く青

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「綾ちゃん、同じ小学校じゃなかった?」 「あぁ、うん。同じクラスになったことはなかったけどね。うちの小学校2年に1回しかクラス替えなかったし…」 「何だ?相川もあーゆー奴がいいのかぁ?」 やれやれと言った感じで健人が言う。すると由梨は慌てて否定した。 「そっ、そんなんじゃなくて…っ!」 「健人はデリカシーが無さすぎ!」 私はもう一度、拳を握り健人に振り下ろした。 「いってぇー!!」 「こんなおバカはほっといて、次の授業の準備しよっと」 「俺が負傷したら来週の練習試合に響くんだからな!もうちょい大事にしろよ!」 私に殴られた所をさすりながら、健人が言う。 「ら、来週試合があるの?わっわっわっ、私!応援しに行っ、行っても良いかなっ?」 あらっ、由梨が頑張ってる。普段はおとなしくてモジモジと恥ずかしそうにしてる由梨が。 「マジで?相川、応援に来てくれるの?やったぜ!張り切る奴が多くなりそうだなー」 「え、えへへ。応援、するねっ」 嬉しそうに笑う由梨に、こっちまで笑顔になる。 キーンコーンカーンコーン… 「あ、チャイムが鳴っちゃった。またね、綾ちゃん、健ちゃん」 由梨が自分の席に戻っていく。 由梨は健人が好きなんだな。健人と話してる時の由梨は、なんだかいつもより可愛い感じがした。 私はまだ誰かを好きになったことはないけど、いつか誰かを好きになれたら、由梨みたいに可愛くなれるのかな… うーん、想像出来ない。 みんなどうやって恋愛とかしてるんだろ? そんなことを考えながら、次の授業の準備を始めた。
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