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〈4年前〉
「…か、…ぁや」
「…さか!」
あれ…誰か呼んでる?
「かねさか!」
「コラ!兼坂 綾!」
目をパチッと開いて、頭を上げると、そこは教室で、クラス中の全員がこちらを見ていた。
「は、はい…」
私を呼んでいたのは、社会科の先生で通称[ゆでたまご]。
ツルツルの頭頂部からついたアダ名だが、今は顔中真っ赤で[ゆでだこ]と言ったところだ。
「兼坂、随分気持ち良く寝てたみたいだな?」
周りがクスクスと笑う。
「すみません…」
いけない。うっかり寝てしまったみたいだ。
[ゆでたまご]を怒らせると…
「そうかそうか。先生の授業はつまらないか。とりあえずプリント10枚。今日中にやって提出しなさい!」
ほらきた。プリント地獄。
[ゆでたまご]はプリント大好きで、何かあればプリントを提出させる。こうなったら頑張ってやるしかないだろう。
けれど、おかしいな。
寝た記憶なんて全然無いのだけど…
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