1.芽吹く青

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〈4年前〉 「…か、…ぁや」 「…さか!」 あれ…誰か呼んでる? 「かねさか!」 「コラ!兼坂 綾!」 目をパチッと開いて、頭を上げると、そこは教室で、クラス中の全員がこちらを見ていた。 「は、はい…」 私を呼んでいたのは、社会科の先生で通称[ゆでたまご]。 ツルツルの頭頂部からついたアダ名だが、今は顔中真っ赤で[ゆでだこ]と言ったところだ。 「兼坂、随分気持ち良く寝てたみたいだな?」 周りがクスクスと笑う。 「すみません…」 いけない。うっかり寝てしまったみたいだ。 [ゆでたまご]を怒らせると… 「そうかそうか。先生の授業はつまらないか。とりあえずプリント10枚。今日中にやって提出しなさい!」 ほらきた。プリント地獄。 [ゆでたまご]はプリント大好きで、何かあればプリントを提出させる。こうなったら頑張ってやるしかないだろう。 けれど、おかしいな。 寝た記憶なんて全然無いのだけど…
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