第1話 救世主、来たれり

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 眼前に迫る、視界を埋め尽くすほどの影。その脇下をすり抜けるように、赤い機体が流星の軌跡を描く。 (しかし、こんなのさすがに想定外過ぎるぞ……!)  そして、鮮やかに背後を取り――機体に搭載された、レーザー砲を放つ。灼熱の閃光が一条の輝きとなり、巨大な影に突き刺さった。  確かな手ごたえを感じさせる、「何か」の呻き声。それを耳にしても、若きパイロットは慢心する暇もなく操縦桿を握り締める。  その表情は、レーザー砲を命中させた今でも、緊迫感に満ちていた。  ――その一方で。青い機体と黄色い機体が、巨大な影から逃れるようにバーニアを噴かせていた。仲間達が脱出していく姿を見送り、青年の表情が微かに緩む。 (よし……もう一息で、2人とも離脱できるな! あとはオレがッ……!?)  ――それが、命取りだったのだろう。遙か彼方へと飛び去る二つの流星を、青年が見送った時。  ふと彼が顔を上げた先で――巨大な影が、その大顎を開き。 「ま、ずった」  刹那。宇宙を染め上げんと唸る火炎の嵐が、一瞬にして青年の視界を覆い尽くした。  彼は反射的に操縦桿を握ると、再び機体の向きを急速に切り替え、回避を試みる。  ……が、人類の叡智を結集して開発された、最新鋭宇宙戦闘機のポテンシャルを以てしても。     
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