第1話 ラオフェン・ドラッフェの伝説

1/13
前へ
/137ページ
次へ

第1話 ラオフェン・ドラッフェの伝説

 遥か昔、惑星アースグランド――当時は「地球」と呼称されていた――では、大規模な大戦があった。  蒼く広大な星を二つに隔てた陣営の片方は、圧倒的な物量で攻め入る相手に対抗すべく、優秀なパイロットを積極的に投入した。  本来あるべき休みもなく、戦いのみに生きることを強いられた彼らは、パイロットという「人」の枠を超える成長を余儀無くされ――「エースパイロット」と呼ばれる「超人」と化していく。  そうして戦い抜いた先が敗戦であっても、彼らはその瞬間まで戦うことを辞めなかった。折れることすら許さない時代が、彼らをその境地へ追いやったのだ。  資源も戦力も豊かな勢力は、兵に無理はさせない。ゆえに、エースパイロットなどという、「(イビツ)」な存在も生まれない。  ――エースパイロットがいない時代こそ、人々が待ち望む平和な世界なのだ。  ◇  星々なのか、爆発なのか。神秘の光か、命の灯火か。  遠目に見ては判別できない、この空間を裂くように――二つの閃光が宇宙を翔ける。 『ラオフェン! さっさとコイツを引き剥がせ!』 「わかってるよ、慌てるな」     
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加