幼馴染のアイツ

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  「沙耶香ちゃん、俺と一緒に遊ぼうや。こっち来たばっかで、俺、友達おらへんねん。親も引越しの片付けしてて、全然俺にかまってくれへんから、ヒマやし、抜け出して来たった!」  そして、沙耶香の母親に向かって礼儀正しくおじぎをした。「夕方まで遊んでってもえーかな?」 「ウチは構わへんから、ゆっくりしてきー。お母様に、家に居る事言ってくるわ」  そう言って、紗耶香の母親がリビングを出て行った。春人はにっこり笑って、沙耶香の手を取った。 「なかよーしてな!」 「あ、う、ウン。えーよ」 「ほんなら、俺と沙耶香ちゃんは、もう友達やからな!」 「ウン、わかった」 「何して遊んでたん?」 「お人形遊び。今日は仲良しのお友達と遊べへんかったし、お父さんも仕事でおらんから、ウチも退屈やってん」 「ほんならさ、沙耶香ちゃん外行こうや! この街の事、案内してーや!」 「ウン、えーよ」 「よっしゃ決まり! 外遊びに行こ!」  春人にぎゅっと手を握られ、沙耶香は再びドキドキした。  外へ行こうと玄関を出たところで、沙耶香の母親が藍澤家に挨拶をしに行って戻ってきたところと丁度出くわした。二人は外に遊びに行ってくると告げ、仲良く日比野 家を後にした。
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