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「名前は空にしたい。」
空が産まれた時、秋の始まり。
早朝の澄んだ空気。
空には雲ひとつない。
雲ひとつない澄んだ空。
産まれた日の空のように澄んだ目で生きて欲しいから。
それまで考えていた名前をやめて、空に決めた。
今はまだ小さく、弱々しい命を抱きしめて、どんなことがあっても、私がこの子を守り、育てなくてなならない。
そう思って、涙を流すと、重い責任が強くのし掛かった。それからの私は笑うことができない。
そのことが、影響しているのか、もう笑えるはずの月齢なのに、空は笑わない。
アーとか、ダッダとかあるはずのクーイングも無い。
発達や成長のことまで心配しなくてはならない。
命を守るだけでも精一杯なのに。
私が抱える沢山の不安が一つが現実になったのは、雪の降り積もる夜だった。
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