不安な夜

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私の家があるのは、山の上の住宅地。 年に数回、早朝1時間程雪かきをしないと、車を出せなくなることがあった。 幸い翌日は旦那の仕事が休みで、早朝の雪かきの心配はなく、いつも日付を跨いで帰宅する旦那の帰りも早く、リビングで早めの寝かしつけに入っていた。 空が産まれてから、帰りが遅く、早くに出掛ける旦那を寝かせる為、旦那は寝室に、私と空はリビングに布団を敷いて寝る生活が続いていた。 その方が私にとっても都合が良かった。 旦那の帰りにも気づけるし、あまり深い眠りに入らずに済む。 私は夜も頻繁に起きて、寝ている空に耳を近づけ、寝息を確認していた。 弟のようなことにならないように。 私の弟は、生後まもなく、亡くなっている。 今は亡き母の隣。 私と同じ布団の上で。 それは、添い乳をしながら母が寝入ってしまった一瞬に起きた窒息死だった。 母の叫び声で目を覚ますと、上半身裸の母が弟を抱き締めながら、気が狂ったような大声を上げて泣きわめいていた。 今もあの時の母の声が耳に残り離れない。 弟の名前を叫び、泣き叫ぶ母の顔。 ぐったりとした弟の冷たさ。 同じことが空に起きないように。 そればかり考えて、私は眠れない生活を続けていた。
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