不安な夜

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私は空の寝息のことばかり気にしていて、大変なことに気づけなかった。 母親失格だ。 空の顔は真っ赤、おでこに手をあてると酷く熱い。 空を抱き上げ、部屋をウロついた。 何をすればいいのか分からない。 寝室の扉を開け、寝ている旦那を起こした。 「空が…空が死んじゃう…」 旦那がどうしたのか聞いても、私はそう言って泣くだけだった。 旦那は空を私から取り上げると、体温計で熱を計り、冷やしたガーゼをおでこに乗せて、身体をモーフで包み、救急病院に電話を掛け、車のエンジンを掛け、雪かきをはじめた。 雪かきを終え、戻ってきた旦那が空を抱き上げた。 「空の隣に乗って。」 少し車を走らせると、タイヤが雪で空回りをする。 その度に旦那は車を降りて、雪をかいた。 暗闇に降り続ける白い悪魔が、空の命を脅かす。 それは絶望の空だった。 病院着いたのは、1時間後。 いつもなら、15分で着くのに。 冷たかったタオルは熱く、空の息は酷く荒い。 混乱して使い物にならない母親に代わり、旦那はテキパキと事を運ぶ。 病院の診療を終えて、空が大事には至らないと知ると、私の意識がすーっと薄れた。 バタン!
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