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 翌日、また原口から電話があり、たまたま仕事の帰り道だったので着信に出ることができた。 『あれから麻木くんの話したらさ、ゼミ仲間で飲み会しようって話になったんだよ。麻木くんも来てくれないかな?』  すると予想通りの展開になり、また飲み会に参加することとなった。  金曜日は予定があると言ったら、木曜日にどうかと言われ、連日飲み会となってしまった。  問題は連日の予定をこなせるかという点ではなく、まずそもそも予定の時間までに仕事をきちんと切り上げることができるかどうかだ。  きっと八奈見に伝えておけば何の躊躇もなく早めの帰宅を勧めてくれるだろうが、ちゃんとした用事でもない自己都合で連日帰宅を早めるのもどうかと思ったので、彼には言わず自分で仕事の調整を図ることにした。仕事で遅れるかもしれないと先方に伝えておけば問題ないだろう。  木曜日は朝から出来得る限りの時短を心がけ、七時には退所できた。このくらいで帰る日もたまにあるので、特に誰からもつっこまれず済んだ。  飲み会と聞いていたので場所は居酒屋かと思っていたが、湾岸が見える洒落たオープンテラスのレストランを貸し切っていたのだった。原口をはじめとする今回の面子は現在金持ちなのだろうと想像がついた。
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