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 鼻歌を口ずさみながら、全開にした部屋の窓から身を乗り出して星空を見あげた。  チリリリ、チリリリ、と夜虫が鳴いている。  JUDY AND MARYの『RADIO』が、お昼の放送から、ずっと脳内ループ再生していた。放送当番のあった金曜の夜は、いつもノリノリのディスクジョッキーみたいにこの曲が無限ループしてしまう。  ぼくの部屋の下で、ガラガラとシャッターの閉まる音がして、父さんが一階のコウバを閉めたんだってわかった。このところ父さんは急ぎの納品のために、夕飯のあともコウバにこもっていた。 「サカキ製作所」とペイントされたトヨタの軽トラ。夜風にまじる鉄粉のニオイ。サビたガレキの山と枯れた雑草。せまい路地に積みあがったむき出しの鉄骨。部屋から見えるのは、そんな殺風景なものばかり。ぼくの家は、金属加工をする小さな町工場をやっている。 「寝ぼけたことばっか言ってねえで、旋盤のひとつでも上手くなれ」     
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