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大野は、ゴー・ホーム! と航にむかって教室のうしろ扉を指差した。
時計の針はとっくに始業の時間を示している。大野はひょいっとぼくらから占いの載っているマンガの週刊誌も取りあげた。
「ホームルームはじめっぞー」
と教壇に歩き出す大野。教室に散っていたクラスメートたちも、ガヤガヤと自分の席に座りはじめた。
「手をとりあい、見つめ合うふたり……」
「ひゃあ、お前らデキてんのかよ、やっぱ!」と、通りすがりにはやしたてるクラスメートへ、航は「うるせーな。そんなんじゃねえし」とムキになって顔を赤くし、そのまま逃げるように席を立った。
「じゃ、また昼休み。放送とーばんね」
航の背中に声をかける。
「おう」とヤツは手を振りあげ、すれ違うサワさんに軽く笑いかけてから教室を出ていった。
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