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「うん。わたし、羨ましいの。榊くん、奥田くんといるときが一番嬉しそうなんだもん」 「へ?」  それ、どういう意味? と聞こうとしたやさき。 「榊!」と先生に名前を呼ばれ、お弁当をあわててかきいれたときみたいに喉がつまった。サワさんが、ぼくのようすにクスリと笑みをこぼす。 「ほら、また先生に怒られちゃうよ」  サカキ、サカキマコト! 大野のダミ声に、背筋が伸びる。うわずりかけた喉へぐっと唾を流し込み、何とか声をしぼりだした。 「ハイ!」  窓から吹き寄せる風に、ぼくの目のまえでカーテンが大きくはだけた。
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