1月27日

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  「奈津美さん、省吾先輩のこと好きだそうじゃないですか。この山に登って自分の実力を認めてほしかったんでしょ。だから里奈の提案にすぐ乗った。雪山の経験もないくせに……。奈津美さんなんて、やっぱり信用しなきゃよかった。俺たちはいいように扱われて、このザマだ」 〝省吾先輩は頭が固いんだから。奈津美さん、内緒で雪山を制覇して、省吾先輩を驚かせましょうよ〟  確かに、そう言ってきたのは里奈ちゃんだった。  里奈ちゃんとそれを話したのは、以前二人で近場の里山に登った時のことだった。省吾先輩のことも、その時打ち明けた。その話の内容を、なんで正樹くんが知っているんだ。  それに、自分から参加を志願したくせに、この言い草。  ……こいつ。  ムカつくな。  ふと、先程まで窓ガラスを揺らしていた風が止んでいることに気付いた。  外を見ると、しんと静かだった。舞う雪の量も減っている。漆黒の中、仄かな月明かりが山景を浮かび上がらせている。 「……あ!」  私は窓に近寄る。  そしてガラスに両手を当て、外を凝視した。 「今、上の方でいくつか光が動いてるのが見えた。夜明けが近いから、ご来光を見るために登山者が登ってるんだ。頂上は快晴なんだろうね。今なら雪も小振りだから、あの人たちに追いつけば助けを呼べるかも」 「……え!」  私は慌ててザックからヘッドライトを取り出した。それを頭に取り付け、スイッチを押す。  正樹くんの方を向くと、彼は眩しそうに顔をしかめた。 「距離はそんなに遠くない。……ねえ、皆寝てるからさ、二人で助けを呼びに行こうよ」  
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