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ゆっくり駐車場から通りに出た。
「運転に興味あるか?」
チラッと横を見ると頷いている。
「教えてやるよ。今日じゃないけどな」
「ホントですか!?」
「ああ、ある程度分かるようになったら免許取れ。ローン組んで車も買うといい。最初は中古車にしろよ、うんと慣れてから新車を買えばいい」
夢のような生活だ。
スーッと車がこじんまりした古びた店の駐車場に入った。
「ここは?」
「俺がよく来る古着屋だ。来いよ」
中にはたくさんの服があった。壁にもところ狭しとぶら下がっている。
「結構いい服が安く売ってるんだ、お前も買い物ここですればいい」
(古いって……ほとんど新品じゃないか!)
課長はどれだけ行きつけの店を持っているんだ? もう河野の存在そのものがびっくり箱に見えて仕方ない。
初めはおっかなびっくりで手も出せずにいた。河野が「俺も買う」と物色し始めたのを見て、それに釣られるように少しずつ手に取り始めた。
「お! それいいじゃないか」
「いや、そりゃないだろう!」
あれこれ考えずに服を選んで行くのは楽しかった。ふと気づけば左腕にかかっているのはジーンズが2本、ジャケットが3着、シャツが4枚、そして靴を2足掴んでいる。
ジェイは現実に立ち返った。
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