5.ジェイと蓮

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   落ち着いてきて蓮はジェイの頭をパカンと叩いた。 「ずいぶん気持ち良く笑ってくれたな。覚えてろよ」 「もう! 笑っちゃうからその話やめてください。鬼課長が遊園地の乗り物で具合悪くなるなんて話、三途川さんが知ったら大喜びしますよ」 「あれにだけは言うな、えらい目に遭う」  その苦り切った顔にクスクス笑う。 (来て良かった) いつもの表情が、陰が消えている。 (遊園地、有りだな)  きっと自分以外、誰も連れてきやしない。ジェイを子どもみたいに笑わせることが出来てすごく嬉しい。思いがどんどん募っていく。 (ジェットコースター、克服しないと) そんなことまで考えていた。どうしてもまた喜ばせたい。 「次はどれがいい? あ、頼むからメリーゴーランドの類いや観覧車はやめてくれよ」 「えぇ、観覧車は乗りたいです」 「だ! め!」  今度はジェイが膨れた。 「そんな顔しても……だめだ」  言いにくい、だめだと。きっとこの顔を見続けたら自分は良しと言ってしまうだろう。 「分かりました! 他のもん探します」  そうニコッと笑うからホッとした。  ジェイはいくつかのアトラクションを堪能して、今缶コーヒーを飲んでいる。その間も絶え間なく周りを眺めていた。 「連休だな」  蓮の声に、視線が戻った。休みなくあれこれ回ったせいか、少し疲れた顔に見える。   
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