きみの体温 あなたの笑顔

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エアコンが壊れた。 よりによってこんな日に。 夕方から降り始めた雪は、あっという間にそこらじゅうを真っ白に変えてしまった。 4年振りの大雪らしい。 やけに室外機の音がうるさいと思ったのは、雪が舞い始めた頃。 晩ご飯に食べたカップラーメンが、いつもより早く冷めて、あんまり美味しくなかった。 靴下を2枚履いても爪先が痺れるほど冷たくて、アパートの1階はやっぱり底冷えするよなぁと、こんなときばかりはこの部屋を借りたことを後悔した。 大学って休講にならないんだっけ? どっちにしろ明日は家から出たくない。 さぼってしまおうか。 そうと決まれば夜更かしだ。 まずはゆっくりお風呂に入って温まろう。 それから録り溜めていたドラマでも見ようかな。 マンガを読むのもいいな。 そういえば課題がひとつ出ていたけれど。 とりあえず今日のところはいいや。 呑気にそんなことを考えていたのだけれども。 お風呂から出てみたら、異様に部屋が寒かったのだ。 まるで外にいるかのようで、吐く息も白い。 慌てて窓を確認したけれど、ちゃんと閉まっている。 うわぁ、もう30㎝ぐらいは積もっているんじゃないだろうか。 向かいの畑には白菜が育っていたのだけれど、すっぽり埋まってしまっているように見える。 暗いからよくわからないけれど。 めったに見られない光景に一瞬、現実を忘れそうになった。 でも、頭上から降ってきた冷たい風にハッと我に返る。 そうだ、エアコン。 本来なら温かい風が出ているはずなのに、なぜか冷たい。 吹き出し口の下で手をかざして確認してみても、冷風しか感じられないのだ。 リモコンの表示は間違いなく「暖房」になっているのに。 まさか、壊れた? サーッと血の気が引いていく。 うそでしょ? 電源を切ってからもう一度つけてみる。 いつもならすぐに運転が始まるのに、なかなか動き出さない。 もう一度、切ってつけて、をやってみる。 お願い、動いて! しばらく待つと、ブゥゥン、と工事現場で聞くような大きな音を立てて室外機が回り出した。 けれども、やっぱり吹き出す風は冷たい。 ……どうしよう。 エアコンが壊れた。
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