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「あーっ、いや、ちょっと待って。やっぱ、なし!」
「え?」
「なんか、ほら。もうちょっと、ちゃんとしたとこで言いたいっていうか。こんな、勢いみたいな感じで言いたくないっていうか」
横を向いてしまった先輩の耳が赤く染まっているように見えるのは気のせいだろうか?
「あんま見ないで」
そう言って、私の目を右手で隠してしまった。
先輩の手が触れている部分が熱くなっていく。
今、先輩はどんな表情をしているのだろう?
もっと知りたいと思った。
もっと、もっと話していたい。
先輩もそう思ってくれていたらいいのに。
ゆっくりと先輩の手が離れていく。
先輩はいつもよりも少しだけ照れたような笑顔を浮かべて私を見ていた。
「今度さ、2人でどっか遊びに行かない?」
「はい」
「よかった」
雪が降らなければ。
エアコンが壊れなければ。
今こうして先輩と向かい合ってなんかいなかっただろう。
外は相変わらず雪が舞っていたけれど、身も心も温かく満たされた気持ちだった。
朝まで時間はたっぷりある。
さぁ、何から話そうか?
fin
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