城へ

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「マアサ様、失礼します。」 「お入りなさい」 返事があったのでドアをあけると、お茶の用意がしてあった。 「ここに座ってくれるかしら」 「はい…」 断る権利は私にはありませんので。 「ねぇ、お兄様、貴女お姉様でしょ」 さっそくバレた!! 「すみません!騙すつもりはっ…」 「いいのよ、最初からわかっていてお兄様にしたてあげたの」 解ってたのに?お兄様っておかしくない? 「…それは…何故でしょうか?」 「3ヶ月、その間にお兄様の恋人になってほしいの。」 は? 「お兄様は男色では無いはずなの。ただ、美しい顔と地位が女嫌いにさせてしまったの。」 だから? 「アランなら何とか出来ると思うの」 「なんとか……とは?」 「貴女、お兄様に女だと気がつかれなかったでしょう?普通なら一目で気がつくのよ。なのに凄いわ!貴女は無限の可能性を秘めているのよ。」 気がつかれなかったけどさ… 「他の『お兄様』は、すぐに気がつかれたわ。で、すぐにお別れになってしまうの。」 私の女としての自尊心が崩壊していくので、もうやめてください。 「あの…マアサ姫、私が男だと思っているのであれば、よけいに恋人というのは難しいのではないかと思うのですが…」 「そこよ!意外性!ギャップ!」 「ギャップ…?」 「そうよ。男だと思っていたアランが女だと気がついて、お兄様は恋に落ちる。そして今度はお兄様がアランに好かれる。愛し合う二人は結婚……素晴らしい計画だわ!!」 夢見るお姫様の謎計画…… 「本当に切実なのよ。世継ぎの問題は勿論だけど、男色というのも他国にとってはあまり良く思われない事もあるし。外交がうまくいかないのは国にとっても致命的よ」 さすがお姫様…国の事を考えてる…。 「結婚すれば私は城を出るし、それまでに私が何とかしないと…と思ったの」 「その白羽の矢が、私に刺さったということですか…」 「その通りよ」 冗談はよせ。 「お世継ぎ問題も私が解決するんでしょうか……」 「そりゃそうよ。王の愛する女性が王妃になるわ。今この国では、その王妃になれる女性を探し回ってるんだもの」 「私の気持ちは……」 「だから、アランに好きになってもらえるよう、お兄様が頑張るのよ」 「私に全く興味をもたなかった場合はどうするのでしょうか?」 「何とかなさい、命令よ」 うっすら笑みを浮かべ、私を見るマアサ姫。 「っかしこまりました!!」 ファビアン王の妹なのだと、肌で感じました…… ところで、私はいつどこで王様と仲良くなればいいんだろう…。
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