97人が本棚に入れています
本棚に追加
「マアサ様、失礼します。」
「お入りなさい」
返事があったのでドアをあけると、お茶の用意がしてあった。
「ここに座ってくれるかしら」
「はい…」
断る権利は私にはありませんので。
「ねぇ、お兄様、貴女お姉様でしょ」
さっそくバレた!!
「すみません!騙すつもりはっ…」
「いいのよ、最初からわかっていてお兄様にしたてあげたの」
解ってたのに?お兄様っておかしくない?
「…それは…何故でしょうか?」
「3ヶ月、その間にお兄様の恋人になってほしいの。」
は?
「お兄様は男色では無いはずなの。ただ、美しい顔と地位が女嫌いにさせてしまったの。」
だから?
「アランなら何とか出来ると思うの」
「なんとか……とは?」
「貴女、お兄様に女だと気がつかれなかったでしょう?普通なら一目で気がつくのよ。なのに凄いわ!貴女は無限の可能性を秘めているのよ。」
気がつかれなかったけどさ…
「他の『お兄様』は、すぐに気がつかれたわ。で、すぐにお別れになってしまうの。」
私の女としての自尊心が崩壊していくので、もうやめてください。
「あの…マアサ姫、私が男だと思っているのであれば、よけいに恋人というのは難しいのではないかと思うのですが…」
「そこよ!意外性!ギャップ!」
「ギャップ…?」
「そうよ。男だと思っていたアランが女だと気がついて、お兄様は恋に落ちる。そして今度はお兄様がアランに好かれる。愛し合う二人は結婚……素晴らしい計画だわ!!」
夢見るお姫様の謎計画……
「本当に切実なのよ。世継ぎの問題は勿論だけど、男色というのも他国にとってはあまり良く思われない事もあるし。外交がうまくいかないのは国にとっても致命的よ」
さすがお姫様…国の事を考えてる…。
「結婚すれば私は城を出るし、それまでに私が何とかしないと…と思ったの」
「その白羽の矢が、私に刺さったということですか…」
「その通りよ」
冗談はよせ。
「お世継ぎ問題も私が解決するんでしょうか……」
「そりゃそうよ。王の愛する女性が王妃になるわ。今この国では、その王妃になれる女性を探し回ってるんだもの」
「私の気持ちは……」
「だから、アランに好きになってもらえるよう、お兄様が頑張るのよ」
「私に全く興味をもたなかった場合はどうするのでしょうか?」
「何とかなさい、命令よ」
うっすら笑みを浮かべ、私を見るマアサ姫。
「っかしこまりました!!」
ファビアン王の妹なのだと、肌で感じました……
ところで、私はいつどこで王様と仲良くなればいいんだろう…。
最初のコメントを投稿しよう!