エピローグ

3/5
前へ
/145ページ
次へ
いつもなら怪訝に眉をひそめる春一だが、今朝は違った。 「え? 戻ったのか」 起きようとした瞬間、見事に簡易ベッドごとひっくり返って、 「――っ痛てー」 床と正面衝突した。 春一の体に秋哉のベッドは窮屈すぎる。 よくもこんなベッドで毎夜熟睡できるものだと、秋哉の我慢強さというか鈍さにちょっと感心する。 『新しいベッド、買ってやらなきゃな』 と思いながら、横倒しになったベッドを立て直していると、 「なーにやってんだよ春」 同じ部屋のベッドの上には、クツクツと笑う夏樹。 いやこの笑い方は、 「夏樹、か?」 当たり前のことを当たり前に聞いたら、夏樹は『当然』とばかりに、ふふんと鼻で笑う。 ちゃんと冬依も、そして鈴音も、元の体に戻っていた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加