88人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもなら怪訝に眉をひそめる春一だが、今朝は違った。
「え? 戻ったのか」
起きようとした瞬間、見事に簡易ベッドごとひっくり返って、
「――っ痛てー」
床と正面衝突した。
春一の体に秋哉のベッドは窮屈すぎる。
よくもこんなベッドで毎夜熟睡できるものだと、秋哉の我慢強さというか鈍さにちょっと感心する。
『新しいベッド、買ってやらなきゃな』
と思いながら、横倒しになったベッドを立て直していると、
「なーにやってんだよ春」
同じ部屋のベッドの上には、クツクツと笑う夏樹。
いやこの笑い方は、
「夏樹、か?」
当たり前のことを当たり前に聞いたら、夏樹は『当然』とばかりに、ふふんと鼻で笑う。
ちゃんと冬依も、そして鈴音も、元の体に戻っていた。
最初のコメントを投稿しよう!