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カエデの声にゆっくりと振り返ってきた冬依は、
「――!」
思わず息が止まるほど、妖艶な笑みを浮かべていた。
この世の者とは思えない色香漂う美人。
今度こそ心臓ごとわし捕まれて、止まりそうになる。
冬依は、そんな笑みを浮かべたまま、
「わかった」
全身を絡め取られるような、甘い声。
「頑張ったご褒美に、明日、カエデが満足するまで抱き潰してあげる」
「抱き潰っ――」
周りのホストたちが赤面する発言を残して、この場から優雅に歩き去って行く。
立ち去った後の香りまで甘い気がする、冬依が残した爪あとだった。
「……抱き潰す……」
その場に残されたカエデは、
「――ベアーハッグ、か」
中学生らしい覚悟を決めて、明日に備えることにした。
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