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来生春一の背中に、秋哉が隠れるように縋り付いている。
それは一年生が初めて登校する小学校の入学式の風景みたいだが、秋哉は残念ながら小学生ではない。
半分大人になりかけた高校二年生。
身長も170センチに近くなり(本人は170センチだと言い張っている)、178の春一の背中に隠れる、というのはもう無理がありすぎる。
春一の両肩に手をかけ膝を曲げて、精一杯身を縮こませている秋哉に、
「あークソめんどくせぇ!」
春一は突然大声を出す。
秋哉はビクリと身をすくませて、
「ごめん秋哉くん、ごめん」
熱いものにでも触れたように、パッと手を放す。
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