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そんな中、あの雪の夜に光也さんと偶然再会できて、わたしはとても嬉しかったんです。
たとえ、妻子あるあなたでも、わたしが誘えば応えてくれるんじゃないかと、邪な考えがありました。
けれどもあなたは、それを拒んだどころか、わたしに自分を大切にするように諭してくれた。
一緒に晩ご飯を食べたり、優しい言葉をかけて貰ったり、光也さんの真面目で温かい人柄に、わたしは癒されていたんです。
本当にありがとう。
でも、やっぱり現実は残酷で……。
光也さんには家庭があって、わたしの気持ちを押し付けることは、あなたの幸せにはならないと気付いてしまった。
わたし、光也さんのことが大好きです。
どうか、奥さんと娘さんと関係を修復して幸せな家庭に戻ってください。
だけどもし、生まれ変わってまたどこかで出逢えるのなら……その時は、わたしを光也さんの奥さんにしてくださいね。
突然、あなたの前から居なくなることをどうか許して……。
幸せな気持ちのままで、両親の元へ逝かせてください。
咲江
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