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手紙を読み終えると、俺の目からは涙が次々と零れ落ち、便箋のインクが所々滲んでいた。
咲江さんはこれから幸せになることもできたはずなのに、中途半端な俺じゃ支えになれなかったのか。
どんなに理屈をこねても、俺は結局彼女を傷付けた……。
年甲斐もなく、俺の頭の中は彼女のことで一杯になっていて。
本当は咲江さんを抱こうとした日も、冷めきった家庭を捨てて、彼女と温かい家庭を築いて行くのも良いかもしれないなんて思いもあったんだ。
彼女が死を選ぶ必要なんて、無かったんだ……。
俺も、咲江さんのことが大好きだって伝えたかったよ……。
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