1人が本棚に入れています
本棚に追加
「──て、──、起きて」
───おんなのひとの声がする。
「─お」
───おとこのひとの声も。
まだ、眠たい。寝ていたいのに。
むぅぅ、っとさっきよりぎゅっと丸くなる幼子。
「あらあら、まだ眠たいのね」
クスクスと笑うおんなのひと。
───あれ。この声……しって、る……?
「まるで猫みたいだな、あお」
ゴツゴツとした大きな手が頭を撫でる。
───……しってる。この声も、この大きな優しい手も。
まだ眠っていたいという欲求もあったが、懐かしい声に重たい瞼を開く。
「───ぉかぁさんっ、おとぉさんっっ!」
あおと呼ばれた幼子は懐かしい、両親の姿をすぐそばに見つけ、ぎゅっと抱きつく。
「おかあさん、おとうさんっ」
「ふふ、久しぶりねあお。」
「寒かっただろ、大丈夫か?」
「平気だよっ、おかあさんもおとうさんもあったかいもんっ」
母親の膝の上で抱き締められ、父親には頭を撫でられる。
「今までどこにいってたの? むかえにきてくれたんだよね、ぼく、ずっといい子にしてたのにちっとも会いにきてくれないんだもん、さみしかったんだよ?」
ぷくっと可愛らしく頬を膨らませるあお。
「わっ」
最初のコメントを投稿しよう!